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鐘は誰の為に
それは、ある男の過去の記憶…
どれ程の時がたったか覚えていないが目を閉じれば、例えようのない輝き、腕に抱いた者の血と失われていく体温。
死に逝く者など幾らでも見てきた筈であるのに、その瞬間、その輝く光が忘れられず、幾度となく絶望し幾度となく切望した。
男の願いは叶わなかった。
しかし、何十年、何百年、待ったか分からないが男に光明が差し込んだ。
男は愉悦に顔を歪ませ、
『もうすぐだ。もうすぐ叶う。』
ぶつぶつと、うわ言の様に呟き続けていた。
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