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目覚まし時計よりも、母の朝ご飯の準備の音よりも、 すずめのさえずりよりも、朝刊の配達される自転車の音よりも 早くに少年は目がさめていた。 揺れるカーテンの隙間からは、まもなく朝を迎えようかという 曙の光が 花の香りとともに差し込んできた・・・ もうまもなく朝なんだって、胸を高鳴らすに足りる ちょっと寒い… 少年は上着を羽織って、カーテンに手をかけた 部屋は朝の冷たい風が占めた 桜の香り、若芽の香り、潮の香り 部屋が曙の時と交わった 寒さ?緊張?不安?期待? 少年は軽く身震いをした そして大きく伸びをした… トントントントン…  チリン②…  チュンチュン…   止まっていた少年の贅沢な時間が動き始めた
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