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「本日より近衛隊に配属となったミハエル・ウル・スバル中尉であります。」
近衛隊の執務室は思いのほか広く、綺麗に整頓されていた。
銀髪の初老の男が机に向かっている。
顔をあげた。
「近衛隊隊長のシラトリだ。よろしく頼む。…君は確か、国際射撃大会で…銀をとっていたな。」
「はっ。光栄であります。」
「ふむ。心強いな。…キシリア様へのお目通りの後、私についてきたまえ。」
「了解であります。」
屋敷にはふかふかとした赤絨毯が敷かれ監視用のカメラやら防犯機器が至る所に配備されている。
街の中枢、デギン議員の一人娘ならば当然かもしれないが物々しいことこの上ない。
「失礼します。」
シラトリは扉をたたいた。
一際大きな扉、その奥に彼女はいるようだ。
「どうぞ、お入りください。」
扉が開き、大きなイスの上に少女が座っていた。
確か歳はまだ16、7だった気がする。
周りの家具の大きさに年齢よりもより幼く感じる。
「お疲れ様です」
「彼が本日より近衛隊に配属となったミハエル・スバルであります。」
「そんなに緊張しないで下さい。よろしくお願いしますね。」
「はっ!」
謁見を終え、部屋を出る。
「さあ、ついて来たまえ。」
シラトリに連れられて屋敷内の説明を受ける。
「時に、君は機動兵器の話は聞いた事があるか?」
「…コロニー外周の整備作業を行っている機械を軍事転用する、という噂が軍内部で流れていましたが。」
ブルドーザに二本のマニュピレータとクレーンがついたような物を軍事利用するとはよく理解は出来ないが。
「コロニー整備用の機械ではないが、まあ大体そのような物だ。開発部門があるコロニーで研究を行っている。その試作機が今日届くのだが、今日配備されたもの同士、少し操作してみないか。」
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