試作機

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無骨なデザイン…そう言えば聞こえは良いかもしれない。 「ある事情で装甲が外してある。なに、軽量化されていると思えばいい。コックピットに乗って指示通りに動いてみてくれ。」 どの位の大きさだろうか。8mくらいか。 作業用機械とは似ても似つかないそれは、搭乗口らしき胸のパーツを開いた。 中は狭く、イスは低反発ポリウレタンが入っているようで体に吸いつく。 五点止めシートベルトを締め、電源を入れる。 ファン音とポンプ音がする。そこまでうるさくは無い。 ベッドセットを着けて指示を待つ。 「いいかね。これから政府高官や連邦の奴らが見るPVを撮影するからな。」 「…了解です。」 「理解が早くて助かるよ。テストパイロットだといささか問題があってね。さて、搭乗口を閉めてくれ。右側の赤いボタンだ。」 パシュっという油圧シリンダーの音がして、扉が閉まる。 「いいぞ。あとは画面の指示に従ってくれ。」 「MS-04起動、試験運転に移行します。起き上がります。画面上の操作を行って下さい。」 画面上には必要な操作が分かりやすいように表示されている。 「いいか、ゆっくり操作してくれ。なるべくゆっくりな。」 ゆっくりと操作し、半分程起き上がる。 「一度倒れます。ショックに気をつけて下さい。」 そう言うと機体は力尽きたように倒れ込む。 シートのおかげであまり大きなショックは無かった。 「大丈夫か。故障じゃなくそう言うテストプログラムだから安心しろ。」 「了解。続けます。」 「もう一度起き上がります。操作を実行して下さい。」 「ゆっくり、ゆっくりな。」
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