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猫である私は…ご主人様の肩の上にのせられました。 雲行きが怪しいです。風は軽く吹いている程度ですが…。 「天気は悪くなってきたが…丁度いい風だな」 ついに出発です。倒してあった帆を立て、風を受けます。 「よし。行くぞ!レイン!」 風が…風が気持ちいいです。今まで、風をこんなに気持ちいいと思ったことはありませんでした。 まるで…風が体の中にまで入り込んできている感じです。しばらくそんな気分に浸っていました。 「うわ…風が…」 最初は弱かったはずの風は勢いを増すばかりです。 「風が強くなってきましたので、ウィンドサーフィンをしている人は中止してください」 アナウンス。 「そんなこと言われても…。コントロールが効かない…」 ご主人様の険しい表情を私は初めて見ました。元居た場所からどんどん離れていきます。 いつの間にか雨も降り出してきました。 そして高い高い波。ご主人様と私を…一瞬のうちに呑み込みました。
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