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「だからなにをだよ」 「僕の先祖」  悠樹と充彦は顔を見合わせると、同時にため息をついた。 「別にお前の話なんぞ、転校生ほどの話題性はないぞ」 「右に同感」 「何だよ、悠樹まで。まあ、聞いてくれよ。僕の先祖って、この街に流れ着いた浪人だったんだって。それでこの街が気に入って、この街で暮らすことにしたんだって。なんか、かっこよくない?」 「なるほど。でも、それを聞いたのが今年でよかったな」  充彦は真顔になって言った。 「なんでだよ」 「考えてみろ。来年は俺たちは3年生。受験やらなんやらがある年だ。そんな時期に浪人の話を聞かされたら、俺だったらへこむね」
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