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 ピピッ、ピピッ、ピピッ、ピピッ……。  デジタルのアラーム音が鳴り響く。綾峰悠樹は布団から手を伸ばすと、なり続ける目覚まし時計を止め、ゆっくりと布団からでた。大きなあくびを1つすると、寝ぼけ頭のまま居間へと向かった。 「あら、おはよう、悠樹」  台所から声をかける母親に適当に挨拶して食卓に着く。目の前に並んでいるのは、焼き魚と生卵、それに漬け物という典型的な和食だった。はい、と母はご飯を出しながら苦笑して言った。 「そんな顔をしてると、見てるこっちが眠くなってくるわよ。ほら、ご飯食べる前に顔を洗ってらっしゃい」  言われたとおりに洗面所に行き、顔を洗う。冷たい水を顔に掛けると、それだけで眠気が去ってしゃきっとした気分になる。
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