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「僕は林風太、森林の林に風と太鼓の太と書いてハヤシフウタです」
「そういえばまだお礼言ってなかったわね」
「え?」
「私が囲まれそうになっていた時に助けてくれて本当にありがとう」
月姫は軽く頭を下げた。
「どういたしまして」
風太は月姫が道端でゾンビに囲まれそうになっているのを助けた後、彼女の手を引きながら逃げてきた道中を思い出していた。
その後、二人はしばらく自分のことについて話し合った。
月姫は岐阜県から今いる東京に上京してきて今は一人暮らしをしている大学一年生で、風太は東京の出身で地元の公立高校に通う高校三年生であることなどを紹介し合った。
一通りの自己紹介が終わった後、二人はこの後どのようにしてここから逃げ出すかを考えることにした。
逃げ込んできた当初は混乱していたこともありここがどこかわからなかったが、車庫ほどの大きさの部屋と周りに積んである荷物の量からしてなにかの倉庫であることがわかった。風太は何気なく箱の中身を見るべく、箱の封を開けてみた。するとなかにはガス式のライターの補充用ガスボンベが大量に入っていた。
その隣の箱にはジッポー用のオイル缶が入っていた。
「・・・ここはアウトドア用具を売っているマウンテンの倉庫か」
風太はこの倉庫が自分の地元にあるサバイバル用品店マウンテンの店の倉庫であると確信した。
「そうなんだ・・・私は普段ここら辺には来ないから知らなかった」
「じゃあなんでこっちに?」
その言葉に月姫の体が一瞬ビクッと反応した。
「友達がこっちに住んでてね、たまたま遊びに来てたの」
風太はまずいことを聞いてしまったと後悔したが、ここで会話を中断したら余計気まずくなると思い思い切って続きを聞くことにした。
「その友達はどうしたんですか?」
「途中ではぐれちゃったの、携帯にかけたけど出なかった」
「そうですか」
「風太君の両親は無事なの?」
ここで急に切り返されて風太は焦った。「え!あ・いや、その・・・両親は二年前に事故で亡くしまして、今は親戚の援助を受けながらこっちで一人暮らししてるんです」
その話を聞いて月姫は驚いていた。
「実は私もなの・・・」
「え?」
「私も両親を亡くしてるの事故で・・・」
二人の間に重い空気が流れた。
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