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そういえば、自己紹介忘れてたな。
俺は菅野流星。流星って書いて"ルセイ"って読むんだ。ちょっと気に入ってる。
それで、さっきの女の子は小池星那。"セイナ"って名前、変わってるよな。
俺と星那は、幼稚園でよく一緒に遊んでたんだ。親通しも仲良くてさ。
運が良く、俺は星那の隣の席になった。運が良くっていうのも失礼か。
「流星君、アメリカにいたんだよね?」
「うん。お父さんの転勤で。」
「本当に良かったぁ。私ね、小学校を卒業してすぐに、引っ越したんだ。だから、知らない人ばかりかな…なんて思っちゃって。」
へぇー。そうなんだ。だから星那も少し嬉しそうな訳ね。
「あ、流星君。せっかくなんだしさ、帰り一緒に帰らない?」
「良いよ。」
周りでたくさんの人だかりの中で、一人で歩くのはきまづいしな。
あ、でも星那の家どこなんだろう。
「はい、席について。」
先生が入ってきた。…あれ?どこかで見た事あるような…。
「これから一年間、1年3組の担任を務めさせていただく、翠川弘美"ミドリカワ ヒロミ"です。よろしくね。」
翠川弘美…?ちょっと待てよ?幼稚園でよく見掛けた人だなぁ。誰かのお母さん?
「流星君。あの人さ、明日香ちゃんのお母さんだよ。」
「え!?そうなの?」
明日香"アスカ"っていうのは、幼稚園、小学校と、星那と一緒に過ごした子。
先生は一人ずつの名前を呼んで、出席をとっている。星那の名前を呼んだ時、お互いに興奮するだろう。
「小池星那さん。」
「はい。」
「…あら?星那ちゃん?」
「あ、覚えていて下さったのですか!?」
「覚えてるよ~。」
やっぱし。
でも俺の事忘れてたりして。星那には、小学校で会ってるけど、俺はアメリカ行ってたもんなぁ。
「菅野流星君。」
「…。」
「菅野流星君?」
「あ!はい!」
やべぇ、ボーッとしてた。
「えっと…流星君も星那ちゃんと同じ幼稚園だったよね?」
「あ、そうです。」
なんだ。覚えてくれてたじゃん。
「確か…。幼稚園を卒園してから、アメリカ行っちゃったんだよね。」
「あ、はい…。」
うわぁ、先生それ言うなよ…。
「すげぇアイツ。アメリカにいたんだって。」
「マジ!?もしかして英語ペラペラ?」
「え~!憧れる~!」
教室がざわめいた。俺はこれが嫌だったんだよ…。
まぁいっか。1年3組は楽しそうなクラスだよ。良かった。
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