はじめに

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からあげとは、一般的には主に鳥肉に小麦粉を塗し油で揚げた料理の事を指すが、稀に携帯電話を媒体としたインターネット上のコミュニティで、「からあげ」を通称とする特定の人物の呼び名に使われる場合もある。古くは平成18年の4月頃から用いられ、前述の料理のからあげに由来している。正しくは「鳥野からあげ」。日本人の姓である「鳥野」と「鳥の」を掛けたものだと推測されるが、それの本名との関係は不明である。また、それは言動、つまり同記コミュニティ内での書き込み及び専用メールでのやりとりの際に決まって特異な顔文字を展開する性質がある。さらに、それらの顔文字には何種かの類型が確認されており、その時々の状態及び感情を表現する為に使い分けられている。また、その大きさも様々である。平成18年の中期までの観測ではこれらの性質は確認されておらず、また、当初は顔文字の類型も1種しか使用されていなかった為、おそらくはこの頃から試験的に採用され始めていたのであろうと考えられる。一説では、当時既にこの様式を試みていた同記コミュニティ内の知人を真似たものではないかという見解もあり、有力視されている。しかし、それらの性質を理解する為に留意しなければならない事項が何点か存在する。まず、専用の掲示板上の投稿に際しての顔文字の使用状況についてであるが、一度の投稿の間に一回のみの使用が認められている。しかし、小説投稿機能を介した別種顔文字との小咄の際には、発言の度に顔文字が使用されている。これらの事実から、顔文字は類型毎に分別されるのではなく、一種の顔文字が言動の度に変化しているものと理解してもらいたい。次に、それと顔文字との関係性だが、これについては複数の意見があり、断言できる物証もまだ無い。それを考慮してもらった上で、現在最も有力視されている意見を説明させていただく。顔文字と「からあげ」を同一視した見解であるが、これは顔文字が自身を「からあげ」に見立てて発言している事に起因する。しかしそれには例外があり、一人称や言葉遣いもまちまちである事から否定する意見も後を絶たない。従って、顔文字を完全にそれと定義して接するのは危険であると忠告しておく。また、最近になって新たな顔文字の存在が確認された。こちらはそれの言動には一切干渉せず、主に小咄に於ける片割れとして出現する。また自身に名前があり性格にも独自性が見受けられる事から、それが専用に創造した一種の役柄であると推測される。
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