始まりの日

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「皆揃ったの?」 「はい。大体終わりました」 「…奈津!ちょっとあれ!!」 「……嘘」 雑巾を絞ってきた愛香は、入って来た先生を見た刹那私のほうに駆け寄ってきた。 「…凌兄ィ…?」 この人が私達の副担? 「ねぇ奈津、凌さんって教師になったの?!」 愛香の声は、私には全く届かなかった。 「先生が3年3組の副担なんですよねッ」 「うん。よろしくね」 「…よろしく。佐久良先生…」 私は誰にも聞こえないように呟いた。小夜にも、なっちゃんにも、愛香にも、自分自身にも聞こえるか聞こえないかの、頼りない小さな声で…。
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