同心っぽくない同心

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ある日… いつものように塾から帰ってくると、村の様子がおかしかった。 「煙?」 ゴミを焼くにしては数が多かった。 目を凝らして見てみると、家々が燃えて煙を放っていたのだ。 焦った愁は村に向かって走っていった。 普段は使わない裏道を使ったのが幸いしたのか、村にやって来た異邦人に見つかることはなかった。 村にやって来た侵入者は侍の集団だった。 旗印から判断して豊臣軍である。 本道を通ってきた子供たちは恐らく捕まっただろう。 大敗を喫した部隊の残党が逃げ道としてこの村を選んだに違いない。 愁は無心に家を目指した。 刀を持って逃げようと思ったのだ。 刀をしっかり握った愁はすぐに家をでた。 しかし… 「逃げられると思ったか、坊主?」 不幸にも侍の1人に捕まってしまった。
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