troubleⅢ

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番外編・前姫 ………… ザーー 「前姫!!」 ひたすらに降る雨は体温を奪ってゆく。 「ちくしょう!!死ぬな!!前姫ー!!」 叫ぶ声に反応できない。 名前を呼ぶその少年の服は…自分の血であかく染まっていた……………… ……「…前姫!前姫!」 気がつくと目の前にいたのは涼だった。 「ああ、どうした?」 「どうしたじゃないよ。食べ終わったのにずっとぼけっとしたままフォークを上下に動かしてるんだもん。どうかしたの?B級映画並みに怖いよ?」 時計を見ると、時刻は8時50分になっていた。 「心配かけて悪かったな。大丈夫だ」 なんとか笑顔を作ってみる。 「疲れてるの?だったら早く寝なよ?」 ドクン!ドクン! 顔をのぞき込んでくる涼に心臓が強く脈打つのを感じた。 「ああ、ありがとう、そうするよ」 それでも一応動揺せずに反応した。 動揺するのは天下の前姫には似合わないのだ。
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