118人が本棚に入れています
本棚に追加
「ただいま~」
明るくさわやかな声が聞こえた。
「ただいま」
続いて冷静で堅い声が聞こえた。
「おかえり、夏南(かなん)、相良(さがら)さん。朝ご飯は食べた?食べてないんなら私が腕を振るうわよ?」
やる気満々といった感じだ。母さんの闘志が目に見える。
「まだ食べてないの。お母さん作って♪」
「任せなさい」
相変わらず姉さんはテンションが高い。
相良さんも前と変わらない。
「涼、お土産だよっ♪」
姉さんはリビングで僕に大きめの袋を手渡した。
「ありがとう」
「あ~やっぱり可愛いね~涼」
ぎゅ~
「姉さん、そんな抱きしめないでよ、恥ずかしい」
「はっはっはっ、どこにいても性格は変わらんな」
相良さんはにこやかにこちらを見守っている。
「見てないで助けて下さい、相良さん。苦しくなってきましたから」
「しょうがない、助けますか」
相良さんは僕を抱きしめている姉さんの頬にキスをした。するとどうだろう。
「ほわあ~」
姉さんはその場にへたり込んでしまったではないか。
まるで魔法のようだが、これは魔法ではなく愛の力とかいうやつらしい。後で相良さんに聞いた話である。
最初のコメントを投稿しよう!