111人が本棚に入れています
本棚に追加
「本当に…覚えてないの?私のことは覚えてるんでしょ!ねぇ!私の名前は!言って!」
「か、か、か、薫だろ?」
薫が大下に勢いよく掴みかかり鬼の形相で訴えると自分の名前を告げられその手が離れる。
痛む身体を押さえ憎くらしげに薫を睨む大下に今度は透が詰め寄った。
「じゃっ、じゃあ、僕の名前は!」
「いてて……透、だろぉ?なんなんだよ…。…一体…」
身体を乗り出し自分を指差す透に訳がわからないと言った表情で応える。
「…俺の名前は?」
そっと透を退かし大下を見下ろす鷹山を大下は訝しげに見ると眉を寄せ静かにつぶやいた。
「知らない…」
憶測が決定になった一言だった。
「大下さん!タカさんよ!貴方の相棒!二人であぶない刑事やってたでしょ!」
「そうですよ!鷹山先輩と誘拐事件起こしたり、強盗したり…それに鷹山先輩のこと大下先輩が撃って葬式までやったじゃないですか!」
「葬式やった奴がなんで生きてんだよ!それにな、しらねーもんはしらねーよ!だいたいそんなことした覚えもないし俺に相棒はいないっ!」
「…………っ!」
愕然とする三人の姿を見ていた医者が三人を外へと促し言いにくそうに説明をはじめた。
最初のコメントを投稿しよう!