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「ぐはっ!」
予想以上の痛みと鈍い音に大下の体が崩れる。
「肋骨…折れました?この靴、爪先に鉄板入ってるんでキくでしょう?」
「う…ぁ」
「銀星会の話をだせば鷹山さんも釣れると思ったんですがねぇ…。難しいものですね。まぁ、それが釣りの醍醐味ってやつなんですが…っ」
男は蹴りをいれた場所を踏み付けると独り言のようにつぶやいていた。
「ぐっあぁ…!!!!!」
「痛いですか?じゃあ、これは?」
そう言うと最初殴った頭に蹴りをいれる。
「っ!」
脳にまで衝撃が伝わり大下の意識が遠退いていく。
その様子を見ていた男は再び銃を構え大下の腹部を撃った。
一瞬大下の体が跳ねるがそれ以上の反応はない。
大下の髪は乱れ白いスーツは血に染まっていった。
「あ~ぁ、せっかくの白いスーツが大下さんの血で紅くなっちゃいましたねぇ…。でも、もうスーツ代のこと考える必要ないですから………安心して死んでください」
男は双方の目を細め口元だけ上げ微笑みかけ大下を見下ろすと一瞥しその場を去っていってしまった。
―血が…体が…熱い。俺、こんなとこで死んじまうのかなぁ…。あー…やっぱりあいつに関わると録なことねぇや…なぁ、タ…カ―
ぽつり…ぽつり…
ゆっくり雨が降りはじめる。
やがてその雨は激しさを増し大下の体に降り注いでいく。
雨の冷たさと体の熱で意識が朦朧としていくなか脳裏に浮かんだのは皮肉めいた笑みを浮かべる鷹山の姿だった。
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