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大下はかなり腕がたつ。
その大下が重傷を負わされたというのも捜査課に暗い影を落としていた。
「大下さん…はやく目、覚ましてよ…」
薫が大下の手を握り語りかけるとその手が微かに動き大下の瞼がゆっくりと開かれていく。
「か…おる?」
「大下さん!」
薫が大下の顔を覗きこむとまだ意識がはっきりしていない大下が辺りを確認するように見渡す。
「ここ…どこだ…?」
「ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってて!い、今、先生呼んでくるから!」
どたばたと荒々しく病室を飛び出していく薫の背中を眺めながら大下は無機質な病室を首を動かし再度見渡すと今の自分の状態を理解し眉を下げぼんやりと天井を見上げゆっくり息を吐いた。
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