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「ねえ、舞」
「なあに」
昼休み、机の上にお弁当を広げていると、クラスメイトの和美が話しかけてきた。
吉田和美とは高校に入学してからの知り合い。
1年生の2学期に席が近くなって話をするうちに友達になった。
性格は、お子ちゃまで人なつっこい。少々天然ぼけ。
「今、欲しい物とかある?」
「うん、色々あるよ」
「それを手に入れたいとは思わないかな?」
「それは思うけど、でも、学生はボンビーだしねえ」
私は小さくため息をつく。
お小遣いは少ないっていうのに消費税は高くなるし。学生は辛い、とほほ。
「ふっふっふっ」
和美は何かを企んでいる様子で笑っている。
「ちょっ、和美大丈夫?」
私はなんだか心配になって和美の顔を覗き込んだ。
「お姉ちゃん、いいバイトがあるんだけどどうだい?」
和美の怪しげな言動はまるで、キャバクラの勧誘のように聞こえたのは気のせいだろうか。
「そ、それってどんなバイト?」
私は和美の様子をうかがいながら聞き返した。
「よくぞ、きいてくれました。それはずばり雑貨屋さんどえ~す」
「ふ~ん、雑貨屋かあ」
「ねっ、いいと思わない?」
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