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「う~ん、でも、やっぱやめとくわ」
「え~、なんでー!」
和美はききわけのない子供のように口をとがらせた。
「なんとなく気がのらない」
「雑貨屋さんだよ。可愛い小物とかいっぱい、いっぱいあるんだよう」
まるで園児のようにキラキラと目を輝かせてうったえる。
「でも、ほら、学校あるじゃん。学生はやっぱ勉強第一っしょ」
「うそばっかりー」
「ドキっ」
「舞は勉強嫌いでしょう」
和美はきっぱりと言い切った。
「…」
がーん、見破られてしまっている。まったくもって和美の言う通りである。
私は勉強というものが大の苦手なのだ。
授業なんてそっちのけで、先生の声を子守唄がわりに一眠り。
これがまたラッキーなことに席は窓際の一番後ろ。
まさにベストポジションってわけ。
「そ、それに学校終わってからじゃあたいして働く時間ないし」
なんとか和美を諦めさせる理由はないかと考えた苦しい言い訳。
「なーんだ、そんなこと。それなら大丈夫だよ」
和美は勝ち誇ったように笑みを浮かべている。
「なぜですか?」
なんだかとても嫌な予感がする。
「ジャーン、これを見たまえ」
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