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私、花水木神流(ハナミズキ・カンナ)。
ただ今ピンチです。
何故ピンチなのかと言うと―――
「神流ちゃ~ん、いい加減付き合おうぜぇ?」
「そのお話はお断りした筈です、私に関わらないで下さい!」
同じ学校の不良―――もといチンピラ達に絡まれているからです。
私、この人達大っ嫌いです。
学校の風紀を乱す人、この風紀委員の私が許しません!
とは言ったものの、取り囲まれて手も足も出ないのでした。
此処、仮にも校門の前ですよ!
見てないで、誰か助けて!
「そんなつれない返事―――うごっ」
「邪魔なんだけど」
「ホントだよねぇ~、第一レディの口説き方も品がねぇしな」
すいません、学校はゴミのポイ捨て禁止です。
チンピラの後頭部に空のスチール缶を投げ付けた、中性的な黒髪の本読みながら歩いてる人と、茶髪のクォーターハーフ系の人。
うちの学校にこんな人いったっけ?
よく見れば、見た事無い制服に、首から純銀のロザリオ。
学校はアクセサリー禁止です!
「そのコ、オレの彼女なんだな」
茶髪のクォーターが目を合わせてきた。
話を合わせろって事らしい。
「そっ、そうなの!私付き合ってる人が出来たから、じゃね!」
クォーターと腕を組んで校舎へ向かう。
黒髪の人とチンピラ達が残されて、後はどうなったか知らない。
後ろから救急車のサイレンが聞こえたのは、聞かなかった事にした。
あぁっ、名も知らぬ黒髪さん、ごめんなさい!
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登校初日に厄介な事に巻き込まれたものだと、耀魔は思った。
哉は絡まれていた女子を連れてさっさと行ってしまったし、自分はチンピラ共に囲まれている。
後で哉に天誅を加えてやろう。
「オィてめぇ、今の茶髪のツレだよな?」
「見て分からないのか?あぁ、馬鹿だから分からないのか」
いつの間にか人だかりは出来てるし、自分はその中心にいる。
面倒臭い。
さっさと終わりにしてくれないものか。
「所詮猿にはそれに見合った脳しか無い様だな」
濃紺の色を入れたレンズの向こうで、耀魔はあらかさまな挑発をする。
馬鹿というのはあまりにも簡単な挑発に引っ掛かる。
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