† Doll †

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「私がこんな醜い男の妃になるのは我慢ならないっ!」 そう、言った。 婚礼の場で、婚約者に向かって、張り裂けんばかりの大声で、王女は叫んだ。 王女の婚約者の隣国の王子は、唖然として、口を開けていた。 傍にいた、面を被った召し使いも、王女の父親も、その他もろもろの人間も。 皆一様に口を開け、我が耳を疑っていた。 「もう一度言う!私は貴様みたいな人間とは婚約などしないっ!」 王女は丁寧に二回も繰り返した。 王女は無知過ぎるのかもしれない。 婚礼とは政治のために有るものだと、王女は気付けなかったのかもしれない。  
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