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○三神宅○
俺の家は、いや正確には俺部屋はワンルームのマンションに一人暮らしである。部屋に必要以上ものは置かず雄二が上がるたびに『殺風景だ』といわれてしまう。
今は吉田が休んで、俺がログアウト方法を探し、雄二がマップを監視している。
『どうだ?ログアウトできそうか?』
『だめだな。今マニュアル見たり会社に問い合わせのメール送ったりしてる。』
『そっか、俺達どうなんのかな?』
少し弱気なのか遠くを見た虚ろな目でそんな事をいう。
『ただ、このまま誰かに殺されて終わりなんてまっぴらだ。諦めないで方法探すぞ。』
『お、頼もしいねぇー!』
・・・はぁ・・・コイツ。
『馬鹿かお前も頑張れよ。せめて吉田が起きてる間はよ。』
『あぁ、そうだよな。なっさけねーとこ見られたしなぁ・・・』
盛大なため息吐いてテーブルに倒れる雄二。
『まぁ、しかたねぇって、誰だって死ぬのは怖いさ。』
『でもお前は戦ったじゃん。』
『・・・もう誰かが目の前で死ぬのが嫌だっただけだよ。』
『お前・・・』
2人の会話は突然の電子音によりかき消された。
それは先程聞いた警告音、そしてそれが意味するものは・・・
『またかよ!?』
椅子から立ち上がり雄二の携帯を覗き込む。
『北の大通りだ!』
北の大通り・・・計算しろよ・・・時間にそれほど余裕はなさげだな。くそがっ!
『俺が行く!雄二は吉田起こして移動の準備しろ!最低の場合メールは送る!次は雄二の家だ』
『わ、わかった!』ハードケースを手に取り部屋を飛び出した。
○マンション前の大通り○
まずは・・・話、ダメなら・・・撃退する・・・それを頭に叩き込み携帯のマップを調べる。まだ距離はある。雄二達の逃げ道は残しておきたい。俺はマンションから北へ歩き出した。
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