サイレントアクション

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ひたすらに、通路を駆け抜けていた。 獣の様に荒い息を上げ。 心は死への恐怖を常に訴えていた。 ろくに照明が無いため、薄暗くなっている道をずっと進んでいく。 コンクリートを裸足で駆けている為、走る度に肉が擦れ、血が滲んでいた。 だが。 時間は無い。 痛みで躊躇している場合ではない。 確か……自分を含め20人だったか。そして制限は12時間。 この広大な地下施設の中を駆け巡り、目的を果たすには、この二つの要素は大きすぎる足枷であった。 ふと目の前に通路の出口が見える。 歩を緩め、足音を消してその出口へ近づいていく。 呼吸を可能な限り殺す。限界まで抑えた息でさえ、今の状況ではうるさく感じる。 できるだけ壁に寄り、身を低くして素早く出口へと近づく。 ……居る。 人の気配。 極限状態に置かれた自分の感覚は冴え渡り、壁の向こうの気配を察知していた。 眼を閉じる。 集中した。鋭敏になった感覚を、更に研ぎ澄ませる。 思考は要らない。考える暇さえあれば動かなければならない。 躊躇はしない。その一瞬でさえ死に繋がる。 獣の様に。悪魔の様に。 そして――部屋へと躍り出た。
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