芽生え

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冬の名残の雪も溶け 暖かい風が吹き始める   入学からはや一年がたち、新入生を校舎の窓から眺める   一年前との立場の違いを感じた   春といえば、芽生えの時期   それは僕の恋の予感でもある   そう、僕は気付いていないだけだったんだ 自分の中に芽吹く恋に   それは突然やってきた   大きく音を立て加速する鼓動 目の前には彼女の笑顔があった   「ストッープっ!」   その大きな声に僕は我に返った   「なにやってんの つぎ台詞でしょ」   「す、すいません」   頭は完全に真っ白だった   「演技だ演技」   そう自分に言い聞かせても、胸の鼓動が止むことはなかった   彼女と顔を合わせるたび、僕の顔が赤く染まるのがわかった
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