48人が本棚に入れています
本棚に追加
『さて、後は彼等が終われば今回のミッションは終了だから、我々は撤収準備に取り掛かるぞ』
『『ハッ!』』
男が今来た道を戻り始める。
後ろからは部下二人が後に続き、その内の一人が無線機で他の仲間達に撤収を知らせている。
(くふふふふ、第二幕の開演だ)
レッドキャップスリーダー
ラウ・D・アベルは、不気味に微笑みながら戦争の狼煙を上げたのだった。
『ひっ!?やめ――』
パァンッ…!
既に戦意を失った施設内の警備兵を、その人物は何のためらいも見せず持っていた銃で警備兵の頭を撃ち抜いた。
『はい終了ぉー』
その人物は銃を下げると、後ろにいる二人の男女に笑い掛けた。
『僕は23!』
『…あたしは…20』
『チッ!俺様は18だ』
三人はそれぞれ何かの数字を言い合い、黒髪のまだ少し幼さの残る顔をした青年が一番数の低い数字を言った男性に向かって馬鹿にした様な笑声を上げた。
『18って…ぷっ!
アッハハハハハハ♪
あんなに撃っててそれしか殺ってないのぉ!?』
『っうるせい!!』
黒髪の青年に向かって怒鳴り声を上げる茶髪の男性。
どうやらこの三人で殺した人の数を競っていたらしい。
『あーあ、今回は勝てると思ったのになぁ…』
言い争いをする二人を尻目に、長い金髪の女性は残念そうに溜め息を漏らした。
ケラケラと笑っている黒髪の青年が一年前にこの隊に配属してからと言うもの、金髪の女性‐ステラと茶髪の男性‐ハーヴェ、そして黒髪の青年を含む三人で任務が有るごとに誰が一番多くの敵を殺せるかを競っているのだが、今の今まで黒髪の青年に勝った例がない。
『てゆーか、何であんたはあたし達みたいに肉体を強化された訳でもないのに、そんなに強いの?』
『さぁ?わっかんない』
ステラが怪訝そうな顔を浮かべながら聞くが、黒髪の青年は大して考える素振りさえ見せず、適当に答えながら意味もなく紅いベレー帽を目が隠れる程深々と被っていた。
最初のコメントを投稿しよう!