序章

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暗い室内 明かりを放つのは、一台のテレビだけ 『―…今日もまた一人、犠牲者が出ました…―』 テレビの前に、小さなソファーが一つ 『―…犯人が残したメモには…―』 そこに、少女が一人 まだ幼い容姿をしている 『―…犯人を目撃した人は誰も…―』 ソファーの後ろにはベッドが一つ それ以外、その部屋には誰も何も無かった 『―…犯人の残したメモには、名前のような…―』 テレビの前に座っている少女は微笑んだ その笑みは、狂喜が浮かんでいる 『―…Aと書かれて…―』 「くははははっ!」 ニュースに被せるような笑い声 高くて可愛い、子供の声 「ひどいなぁ。」 声は楽しそうだが、表情は何もない 「彼らは幸せなのに」 彼女は、天井を仰いだ 「さて、また行こうか」 少女が部屋から出ていく 少女が出ていってからしばらくすると、テレビからまた新しいニュースが流れ始めた 『―…また犠牲者が…―』 テレビの声は、虚しく宙を舞ったまま 誰にも聞かれずに…
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