夢見がち天使

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ある家の一室 幼い少女が、携帯でどこかに電話をかけた 本来なら小学生になりたての年齢の彼女は、昼間だというのに言うのに家にいた 窓から差し込む光のなか、少女は携帯を見つめていた 呼び出し中から、通話中に切り替わる 慌てて耳にあてた 「も、もしもし?」 『はぁい。誰?』 電話ごしの声は、若い女の子のもの 「天使…さん?」 『うん。そう。僕が、お願い事を叶えてあげる、優しい天使だよ』 それを聞いた少女は、部屋の中でピョンピョン飛び跳ねた 「やったぁー!マヤね、天使さんにお願いしたかったの!」 『マヤちゃんって言うんだ。可愛いね』 「うん!パパが付けてくれたのぉ!!」 嬉しいのか、頬が赤くなっている 『それで、僕に何のお願いがしたいのかな?』 甘い声に、マヤは少しだけ暗い顔になった 「パパね、最近忙しいの」 『ママは?』 「ママは、居ないよ。」 『…そっか』 「マヤね、パパの帰りをいい子で待ってるけど、最近帰ってきてくれないの」 『じゃあ、パパを連れてきて、ずっと一緒に居れるようにしてほしいんだね?』 「そうなの!」 『うん。わかったよ!じゃあ、少し待っててね。パパを連れてくるから』 「お願いね、天使さん」 電話が、切れた。 少女はただ待ち続ける パパの帰りを…
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