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「うわぁ!気持ちいい~♪」
やっぱり海は、涼しい風が吹いている。
春花は大きく伸びをした。
「やっぱり、夏は海だな~。」龍樹も両腕を前に伸ばして、手を組む。そして、バンザイをした。
龍樹の日焼けで真っ黒な顔がまぶしい。
シャツが胸まで開いてる。前にも見たことあったな。その時は、どこまで焼くのよ?って言って、うるせーとか言われたな。
今日は、見た瞬間ドキッとした。
夜会うのと昼と、雰囲気も違う。
夜は大人っぽくしてるのに、昼はすごく子どもみたいだ。龍樹は伸びをしたと思ったら、走って波に向かって行ってしまった。
「あ!待って」走って追いかける。砂に足を取られて、すっ転ぶ。どんくさい…ま、痛くないからいっかぁ。と、その時
「ばっかだなぁ。どんくせぇ」と龍樹が笑いながら、近付いてくる。
「うるさいわっ!いいんだ。痛くないし」とアカンベーをしながら、服の砂を払い落とす。
「大丈夫か?」ん?龍樹が心配そうな顔で、春花を見る。
「大丈夫だよ。ありがとっ」と笑って返事をする。
「だよなー。不死身だもんな」
「そうそう!…って、龍樹っ!」とふくれた顔をして、手を挙げた瞬間、また足を取られた。
でも、今度は転ばなかった。ヒョイと脇に手が入り、体が持ち上がる。上がったときに、体勢を変えて転ばずに済んだ。
「龍樹、ありがとう」
「1日二回も転んだら、可哀想だからな。」と、言っているが、表情がさっきの子どもっぽい感じではない。あれ?何か違うな…
浜に行く為のコンクリートの階段がある。2人はそこに座って、しばらくボーっとしている。
龍樹は「いいよなー。海。やっぱり気持ちいいな~」と言って、仰向けに寝転ぶ。
気付けば、もう夕方。早いなぁ…時間経つの…
もうすぐで、バイト…帰りたくないなぁ…このまま時間が止まればいいのに…って、本当に思った。
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