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―今年の冬の事。
雪が降っているのに、友達の集まりで、飲みに出ていた帰り。
「あー、寒い寒い」と上着を首まで閉じ、とりあえずもう一件寄って行こうと、1人で近くの店に入った。
「いらっしゃい」「いらっしゃーい」
ん?春花は店の人ともう1人、カウンターに座ってる人と目が合う。
でもニコッとされたら、即返しちゃう春花は「こんばんは」と笑顔で返す。
「よかったら、どうぞ。」と隣の席に招いてくれた
話が合えば、すぐ溶け込む春花は途切れることなく話せる店の人と隣の席の人と3人で会話を弾ませる。
隣の席の人…名前は龍樹。
歳は2つ下。
話が合うのは、そのせいか。好きなバンドも同じだったりして、話が盛り上がる。
こんなに楽しく話ができたのは、久し振りかも…
帰りに「よかったら、連絡先教えるから教えてよ」と言われ、交換して「また飲もうね~」と別れてから、たまに連絡とっては飲みに行っていたが、気付くとほぼ毎日連絡をとっていた。
おかげで、普段もつるんで遊ぶ様になった。
その頃、春花は龍樹を気にかけるようになっていた。
でも、春花はいつもと同じ感じの好きだと思っていたのだ。
「ねぇ、龍樹」
「ん?なした、春花」
「好き」沈黙が続く。
言った途端、口から心臓が飛び出そうな感じになった。失敗した。言わなきゃよかった。
「春花、ごめんな。俺さ彼女と別れたばかりでさ、今はまだ…」春花はちょっとびっくりした。知らなかった、龍樹とそういう会話してなかったから、彼女いたんだぁ…そりゃ、いるよな~。でも、ちょっとショックだ。そんな春花の様子に気付いた龍樹は「嬉しいよ。春花といたら楽しいし、何でも話せるし。でも、今はまだ友達でもいい?」と春花の頭をポンと叩いた。春花も龍樹の方を見て「うん」と軽く笑った。泣きそうなのを我慢しながら。
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