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近々綾香に聞いてみようと思っていたら、夜帰って来るなり「あのさ…春花聞いて」と言ってきた。
「どうしたの?」
「…気になる人ができたの…」少し照れてる。下を向いて、顔が紅くなってる。
春花は、自分の事のように嬉しかった。前の男の事を思い出にできたんだねと思いながら「よかったじゃない!うまくいくといいね。」と手を握りながらはしゃいだ。綾香も照れながらも嬉しそうに「ありがとう。頑張るよ」と返事した。
「で、どこで知り合ったのさ?」
「最近新しい1人で行けるバー見つけてさ。そこにその人も1人で来ていて、意気投合みたいになって」一瞬、龍樹を思い出した。ここ数日夜の連絡少なくなったな…仕事忙しいのかな?…まさかね……
1人で飲む人だって沢山いるし…自分に言い聞かせる。
「綾香、今度会わせてね。」
「わかったよ~。で、気持ちも落ち着いたし、自分のアパートに戻るわ。春花、沢山迷惑かけちゃったね。でも、助かった。ありがとう」「いいって事よ。また困った時はおいで」
「サンキュー。」と言って、荷物をまとめてそのまま帰っていった。
何も今帰らなくても…いきなり夜中に帰ったら寂しくなるじゃん。と春花は独り言を言いながら、布団に入った。
でもなかなか寝付けない。
さっきの綾香のセリフが気になって仕方ないのだ。1人で飲みに出掛ける男って、誰なんだろうな…春花は龍樹じゃないかと、考えてしまったのだ。
一度考えてしまうと、消えない。そんな事ないと思いながら、春花はなんとか眠りについた。
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