過去-そして現在<イマ>へⅠ

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  その名に覚えは無かった。 ………が、今聞いただけで、彼女の大剣がどのような代物であるのかがすぐにわかった。 ガイア「"毒剣"…その名の通り、私の剣には幾種もの"毒"が仕込まれています。私自らが調合した特殊な"毒"。…それも繊細で、環境変化………例えば、私以外の妖気に触れただけで様々な化学変化を引き起こします」 説明の中、ガイアは再度大剣を抜き放ち、正面に軽く構える。 ガイア「今回の"毒"は………ゼクシアさん、貴女の妖気に触れる事によって、致死力のある、とても強力な物に変化してしまったようです。………ですが」 そこまで言うと、彼女はゼクシアへと歩み寄り、うずくまる彼女の目の前まで行けば、しゃがみ込み、その顔を覗き込むように、自身の顔を傾ける。 ガイア「貴女の様子を見る限り、即効性はあまり無いようですね。………いや、寧ろそのほうが、逆に良かったのかもしれません。……………だって」 言葉を切ると、彼女はゼクシアに向かい、にっこりと微笑む。 ガイア「だって貴女は…自らの罪の償いに、体中を巡る毒に苦しみながら、逝く事が出来るんですもの。………ゼクシアさん。貴女のような方に相応しい、とても素敵な方法であると思いませんか?」 そう言った彼女の顔には、相変わらずの笑みが浮かんでいた。…が、そこには影がかかり、それはまるで悪魔…或は、彼女の死を嘲笑う死神の笑みであるかのような。………その時の彼女は、とても不気味なオーラを漂わせていた。 . . .
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