過去-そして現在<イマ>へⅠ

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  近いと言っても、距離的には、彼等が身を隠している茂みから私達の居る泉を過ぎ、そこから更に、山一つ分程離れている。 ヴァンダール「…これだけの距離があるんだ。ただの思い過ごしか、勘違いではないのか?」 疑うヴァンダール。 …無理もない、元々は防御型で、戦士時代より今まで、妖気感知に関しては人一倍長けた彼でさえも、ハーヴェイの言う二つの妖気は微塵も感じられないのだ。 ………しかし、当のハーヴェイはと言えば、ヴァンダールの言う事などお構いなしに、話を続ける。 ハーヴェイ「…ふん。一人は、まだ俺達の存在に気付いてはいない様だな……………問題は、もう一人の方か………」 ヴァンダール「…」 何やら、話す度に正確さを増す彼の言い様に、ヴァンダールもその気になったのか、再び、それらの妖気を探ろうと目を閉じる。 ヴァンダール「!!」 ……………すると、ハーヴェイ程明確なものではないが、ヴァンダールにも、彼女等の妖気を、微かだが感じ取る事が出来た。 それらの妖気は、彼等の潜んでいる茂みのある方角へと、徐々に徐々にと近付いて来る。 ヴァンダール「迎え撃つか?」 ハーヴェイ「…いや、その必要は無い。………寧ろ、今此処で俺達が行動を起こせば、こちらが不利になるのは目に見えている。…近くには、組織の本元だってあるしな。………それに」 ハーヴェイは言葉を切ると、そこより再び、ゆっくりと歩き出す。 ハーヴェイ「(…どうやらあちらさんも、俺達の存在に気付いているみたいだし……………これ以上の長居は無用だな)」 ヴァンダール「………何か言ったか、ハーヴェイ?」 ハーヴェイ「…うん? ………いや、何でも無い。…さて、俺達はとっととずらかるとするか。…行くぞ、ヴァンダール」 ヴァンダール「…あ、ああ…」 そうして二人の姿は、森の奥深く………漆黒の闇の内へと、静かに消えていった……… . . .
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