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ゼクシア「…」
………彼女は、
ガイアの持つ大剣の剣先が自分に対して向けられているにも関わらず、彼女の居るほうへと、振り向き直ろうとすらしない。
ガイア「やけに潔いんですね」
ゼクシア「…」
彼女はただ………黙ってその場に立ち尽くしている。
ガイア「…一つ、
聞いても良いかしら?」
ガイアは、その剣先を彼女の背に向けたまま、一向に口を開こうとしないゼクシアに対し話を続ける。
ガイア「黒服から聞いた話なので、私が実際に知る所ではありませんが………その中で一つ、気になる事があったんです」
ゼクシア「…」
ガイアのその言葉に、
微かだが反応を見せるゼクシア。
ガイア「………どうして今になって、このような任務………受けようとなさったのです…?」
不思議な問い掛けだった。
それではまるで………
ゼクシア「………まるで、
私が今まで、任務という任務を、全てすっぽかしてきたかのような…そんな言いようね」
ガイア「あら、違うのですか?
…黒服から聞きましたよ。貴女は今まで、黒服より言い渡された任務を全て、頑なに拒んできたそうじゃありませんか。…それも、全て"あの日"を境に…」
ガイアはあえて、それ以上は何も言わず…彼女に対しただ答えだけを求める様に、向けた大剣を、その背へと更に突き付ける。
……………が、当のゼクシアはと言えば、その顔色一つ変える事もなく………平常通りの、落ち着いた様子でその口を開く。
ゼクシア「…そんな事…
…これから死に逝く者相手に、聞く必要は無いんじゃない?」
ガイア「私は………ゼクシアさん。貴女がこれから死に逝く者であるからこそ…貴女の生きている間に、聞いておきたいのです。…死人は口をききませんから」
ゼクシア「…何故?そんな事、貴女が知ってどうなるの?」
ガイア「どうにもなりませんわ。私の、勝手な趣味ですから」
と、言いながら彼女は首を傾けにっこりと微笑む。…大剣はまだ、その背に突き付けたまま。
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