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足を踏み入れると、やわらかい地面は、何の抵抗もせず僕の足を受け入れる。いい加減慣れたけれど未だこの感触は好きじゃない。
僕が滅多に外を出歩かないのはその所為だ。どうせ外に出たって、目的なんかないのだし。
まったく変わるようすのない景色の中、僕はまた余計なことを考えていた。
漂う砂埃から目を守るべく、ゆっくりと瞼を下ろした。
ふと、何かが聞こえた。
風や砂の音とはまた違う、高くて安定しない音。
……声?
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