20人が本棚に入れています
本棚に追加
村に神隠しが起こったのは、晴明が14歳の頃。
生まれながら強い霊力を持っていた彼は、当然村の異変に気付いていた。
だが、人間から恐れられ、妬まれながら生きて来た彼は、村の異変などどうでも良く、放っていた。
彼にとって、人間界はいつ滅びても構わないと思っているのだ。
5年後…
「晴明」
庭の池を眺めていた晴明の背後に、突然男が現れた。
彼が従える十二神将の一人、六合(りくごう)だ。
晴明は軽く溜め息をつき、振り返る。
晴明「連れて来い」
六合「良いのか?」
晴明「ああ」
六合「分かった」
六合は軽く頷くと、一瞬にしてその場から姿を消した。
晴明は空を見上げ、面倒臭そうに再度溜め息をついた。
雲一つ無い青空。
ふと風が吹き、庭にそびえ立つ紅葉の木から、三枚の葉が舞い降り、目の前の池へ落ちた。
彼はその葉を眺め、ふと呟く。
晴明「やはり、来ちまいやがったな………」
最初のコメントを投稿しよう!