第壱話

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村に神隠しが起こったのは、晴明が14歳の頃。 生まれながら強い霊力を持っていた彼は、当然村の異変に気付いていた。 だが、人間から恐れられ、妬まれながら生きて来た彼は、村の異変などどうでも良く、放っていた。 彼にとって、人間界はいつ滅びても構わないと思っているのだ。 5年後… 「晴明」 庭の池を眺めていた晴明の背後に、突然男が現れた。 彼が従える十二神将の一人、六合(りくごう)だ。 晴明は軽く溜め息をつき、振り返る。 晴明「連れて来い」 六合「良いのか?」 晴明「ああ」 六合「分かった」 六合は軽く頷くと、一瞬にしてその場から姿を消した。 晴明は空を見上げ、面倒臭そうに再度溜め息をついた。 雲一つ無い青空。 ふと風が吹き、庭にそびえ立つ紅葉の木から、三枚の葉が舞い降り、目の前の池へ落ちた。 彼はその葉を眺め、ふと呟く。 晴明「やはり、来ちまいやがったな………」
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