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『人間』とは矛盾だらけの生き物で、恐怖感よりも興味心が圧倒的に上回る。
―怖い…だけど………
『見てみたい』
大きな恐怖感とは裏腹に、ケイタの足はゆっくりとその扉の方へ向かっていく。
ギッ
ギッ
ギッ
一歩、一歩と境内の階段を上り、扉の前へ立つ。
「……………」
胸の前でギュッ!と強く握り締めていた手を、恐る恐る取っ手へ伸ばした…………………
ガシッ!!
「っ――――――!?」
突然、扉の隙間からニュッと白い子どもの手が伸び、ケイタの手首が掴まれる。
助けを呼びたいが、声が出ない。
『遊ぼう』
「っ―――――!!!」
暗闇の中から響いた子どもの声と共に、ケイタの腕が、グイッ!と境内の中へ引きずり込まれた。
ふと、闇の中から見えた子どもの顔。
それは、裂けたように口を吊り上げて笑う少年の姿だった。
目は髪の毛に覆われて見えない。
「や…………やだ――――――!!!」
やっと出た声。
だが、時既に遅く、ケイタの体はいとも簡単に闇へと呑み込まれていった。
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