七章、とある晴天の日に

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小虎は、かなり寝惚けた顔でもぞもぞと起き上がる     あたりを見回して、長凰とシティの姿を確認した     「小虎、ごはんだぞごはん」     笑っている長凰をしばし眺めている間に、青狼はゆっくりと立ち上がった     まだまだ寝たい小虎は、名残惜しそうに青狼を見つめて、ふらふらと立ち上がる     「はい、青狼もごはん」     シティは部屋のタンスを開けて、ドッグフードを取り出した     それを皿に入れて、青狼の目の前に置くと、青狼はそれを美味しそうにガツガツと音をたてながら食べている     その姿は、狼というより犬だ     青狼ではなく青犬でよかったんじゃないかなとシティは思う     まぁ、それじゃあかっこわるいけれど       「ほら、行くぞ小虎」     長凰と小虎が一緒に部屋を出た       いまだ寝惚けている小虎は、ふらふらとおぼつかない足取りで歩く     途中で壁にぶつかり、ガンッ!、と音をたてたが、魔獣というだけあり頑丈な小虎はそれでも目が覚めない     「やれやれ………ほら」     長凰が小虎の手を握って歩く       「ちなみに、そこ食堂じゃないから」     呆れながらシティは言った。
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