七章、とある晴天の日に

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「しかし、奇遇ですね」     月明はニッコリと微笑み、目の前にいる雨流衣(アメルイ)を見つめる     ここは街中の喫茶店、雨流衣はコーヒーを一口飲んだ     「僕もそう思うよ、ところでこの前紹介した仕事、上手く行った?」     ええ、と月明は満足そうに頷く       「実に、上手く行きましたね………もっとも、途中現れた殺し屋にてこずりましたが」     「なんて殺し屋?」     月明の言った殺し屋に興味を持った雨流衣は、コーヒーをまた一口飲んで尋ねる     「そうですね………カルマという少年です」     「カルマ?…………あぁ、野良猫カルマか」     「野良猫?」     再び雨流衣はコーヒーを飲んだ     「うん、まぁ、いっぱいいる殺し屋とかの中じゃあんまり腕が良い方じゃないね」     それを聞いて、月明は驚く     「御言葉ですが、彼は長凰程の強さの者にかなりの傷をおわせました、それだけでなく極竜やアデルセンも退けてますし、演技もかなりの物でしたよ?」     雨流衣は頭をぽりぽりとかいて、コーヒーを飲み干す     「そうだね、確に技量は凄いけど………かなり気まぐれだから」     「…………成程、気まぐれですか」     雨流衣はそうだよと呟く     「なんでも楽しければいいみたいだから、つまらなくなったら勝手に仕事やめるし、最悪、後腐れ無い様に依頼人殺す事あるし、あまりの気まぐれっぷりについたあだ名が………」     「野良猫、ですか?」     苦笑する月明を、雨流衣は笑う     「そ、薄汚い野良猫め!みたいな侮蔑を込められてそう呼ばれる、まぁ嫌われ者だね」     本人はまったく気にしてないけどと、雨流衣は苦笑した。
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