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mixiを始めた。友達の紹介だった。そしたらマイミク希望のメールがきたのだ。ホストやらないか? 「はじめまして、新人のカズです!」 名古屋の錦でホストを始めた。黒いスーツにダイヤのブローチ、白いソファーに大理石の床。9時の電車で名古屋までいき、11時入店。そこから掃除する。栄の夜は眠らない。黒い男に酔っ払いのサラリーマン。クラブのホステスやキャバの女。輝くネオンに目をうばわれた。 キャッチをした。指名が入った。客が1000万のドンペリを空けくれた。金と女に酔いしれていた。気がつけば朝。帰宅する。ばれた。家族、親戚から縁切りだと告げられた。それでもよかった。家族より金の方が大切だった。 GUCCIのバックに財布、シャネルのブローチをプレゼントされた。俺は金を愛していた。月の給料が250万。すべて女にみついだ。家に寄付かない日々。酒と金を身体中浴びていた。でも、心は腐っていた。そのときは気がつかなかった。 「俺、親父と同じことしてる?」 やっと気付いたのだ。ホスト=騙す職業。自分の心臓を刺したくなった。それからシャワーを浴びながら泣いた。浮かんでくるのは家族、親戚の笑顔。お母さんは俺がホストをやっていたころ、警察や知り合いに相談してたらしい。涙をこらえて。 「辞めたい」 親は書類を出した。文書証明だった。店に行って辞表を出すと指を詰められる。だからお母さんは必死で辞める方法を考えてくれていたのだ。 足を洗った。
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