愛人

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愛人

ベンツ、BMW、ランドローバー、ポルシェ。父親が乗っていた車の一部。父親は真面目に仕事をしていた。例えば今日は大阪、明日は東京だとか、かなりのやり手の営業マンだった。金に苦労はしなかった。でもなぜそんなに頑張れるのか?それは愛人がいたから。それに気がつかないまま母親は一生懸命家事をやり、旦那の帰りをまった。知ってしまった。近所のおばさんがお宅の旦那さんこの前車に女性のしてたよ。心無い一言。母親は泣いた。怒った。でもそれが山びこのように帰ってきたのだ。 「お前の目付きが気に入らんからだ!」 強く怒鳴られ、強く髪の毛を引っ張られ壁にぶつけられた。浮気したのは父親。なのに母親がわるいという。逆ギレだった。母親は参った。別れようかと迷った。でもそのときお腹には新しい生命が。離婚はあきらめた。僕たちがいじめられて苦労するのが嫌だったらしい。 女の子誕生。僕は兄になったのだ。妹は活発に育った。友達も多く、みんなに好かれる性格だった。 心肺停止。父親に暴力をうけた。僕は近くの病院に救急でいき、CT、レントゲン、血液検査をした。幸いなことに異常なく帰宅した。父親はそのとき酒に酔っていて僕と妹の喧嘩に腹が立ったらしい。 「お前なんて生まれてこなければよかったのに」 突発的に僕は妹に言ってしまった。そこから兄弟の輪がなくなった。妹ははなれた所で暮らすことになった。 父親は朝帰り。家の中は穴だらけ。空手をやっていた父親はコンクリートも砕くような力だった。だから母親は言葉も出ない。怖い。ただそれだけ。浮気をしようが働いてくれてるのだから。と言い聞かせていた。僕はそんな父親は生きる価値なしだと思った。離婚した。500万の慰謝料で成立した。
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