◇Reminiscences◇回想

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気持ちはいつもひとつ。 そうやっていつも生きてきた。 それなのに、一人の気持ちは僕たち家族ではなく、別の人に気持ちが行っていた。完璧なる裏切り行為。 母と妹そして僕。を、裏切った最悪の父親という存在の男。 絶対に許さない相手。 父親を尊敬していた部分はありますかときかれれば僕の答えは「もちろん、ない」と答える。幼き頃にはあったかもしれないその部分を僕は自身で消した。 父親と母親が離婚したのは僕が小学生の時だった。 けっして、母親に牙をむけない父親が牙をむけていたのだから……。だから、勝手にその先を想像した。この男と僕らはこの日を栄えにさよならだと。 僕が父親を見たのはそれで最後。 これは僕が死ぬまでの秘密だ。 次の日、母が僕と妹にいつもの笑顔を見せながら言った。 「お父さんは、急な出張で外国に行ったから暫くは帰らないの」 嘘だ。 僕は心で叫んだ。 妹は、 「おとうさん、たいへんだね~」 と、のんきに言っている。 そして、妹は今でもアイツが出張しているのだと思っている。 事実を教えることも出来ない弱い僕は、今年高校受験のためにまたあの塾へ行くことになった。   .
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