プロローグ

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               時は室町時代から新しい時代へ移り変わろうとしている頃。いわゆる戦国時代。日本中幾多の武将達が天下を狙わんとしている群雄割拠の時代。                         人々は戦いに明け暮れ、戦火に焼かれ、地獄そのものだった。ただそんな中でも人は生活を営み、愛を育む事は忘れていなかった。                               そこは今でいう中部地方のとある小さな町。そこはある小大名が治める比較的穏やかな所だった。殿様は戦いは好まない性格で家臣や民衆に好かれていた。ただ優しすぎるのが武士としていまいちな原因だ。 殿には娘がいた。名は《雪姫》。容姿は天女を思わせる様な白く透き通った肌、大きな瞳、長い黒髪…民衆の男だけでなく女からも憧れの眼差しで見られる存在だった。                             ただ性格は父親とは逆で少々荒く、男勝りであったのが玉にキズか…。それも仕方ないかもしれない。彼女の評判を聞き付け近隣諸国から嫁にとろうかと来る男供は親の威を借る小者ばかりで、学問はおろか剣術や馬術も彼女にかなう者はいなかった。だから男は口ばかりと決め、男嫌いになったのだ。
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