空からの手紙

5/17
前へ
/293ページ
次へ
その時不意にポケットの携帯が震え出した。ディスプレイを見ると、椎名雅也という文字が浮かび上がっていた。 「もしもし?」 「俺だよ分かるか?」 電話から聞こえてくるこの声は幼なじみで同じクラスの椎名 雅也。 雅也は頭も良くて運動神経バツグンのクラスの人気者だ。 「分かるよ雅也だろ。んで何の用だよ?」 「……何だっけ」 「俺に聞くなよ……」 ただ雅也はどこか抜けてる奴だ。頭がいい…って言うよりは頭の回転が速いと言った方が正しいかもしれない。 「思い出した!!明日の始業式って何か持ってく物あったっけ?」 「特にないと思うよ」 「分かったありがと」 ふと、俺はさっき拾ったラブレターのことを思い出した。ここは、頭の回転の早い雅也に話してみるのも一つの手だろう。 「ところで今空から俺宛てのラブレターが落ちて来たんだけど」 「……漫画の読みすぎ。そんなことあるわけないだろーが」 案の定、笑い飛ばされてしまった。 「いやホント……」 「また明日お前の妄想話は聞いてやるから」 「ちょっ待てよ……」 ツーツー……。 繋がらなくなった電話を切り、俺はため息をついた。まぁ誰も信じる訳無いか。俺でさえ信じられない出来事だもんな。 俺は携帯をしまい、家路へと急いだ。
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2320人が本棚に入れています
本棚に追加