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紫音が帰った後、俺は自分のベッドの上で、ラブレターのことについて考えていた。
まず、差出人は女子だよな。それを信じたい。まあ、筆跡を見るに女子っぽさが伝わってくる。
待てよ筆跡か……。
これはもしかして手掛かりになるかもな。
でも、本当にこの人は俺にラブレターを届けたかったのだろうか?
次から次へと途切れる事なく疑問が溢れてくる。
同姓同名、なワケないか…。俺は、自分の考えを自分で消す。
うーん……。駄目だ、考えても分からない。俺はラブレターを机の中に大切にしまうことにした。
いつか、相手から名乗り出てくれることを待つことにしてみよう。
ラブレター問題に一区切りついたので、俺はポケットから携帯を取り出した。
液晶には新着メール一件
と表示されていた。
誰だろう。と思って開いてみた。そして多分30センチは飛び上がっただろう。
液晶には、俺の片思いの相手の名前が記されていたからだ。
俺は、震える手でメールを確認する。
『明日、話があるから残ってくれないかな?』
俺は今、自分に何が起こっているのか理解できなかった。俺は自分の頬をつねってみる。
……痛い。ってことは、夢じゃないんだ!
俺はすぐに、『いいよ』と返信してからガッツポーズをした。百合菜ちゃんから呼び出し……。
『翔くん、私ずっとあなたのことが好きだったの……』
『百合菜、俺もだよ……』
俺の頭の中に広がる、誠に自分勝手な妄想。今なら、幸せな気分で寝れそうだ。
俺は母さんに晩御飯はいらないと告げ、そのままベッドに入った。
数学、ラブレター、妄想で頭は疲れ切っていたのだろう。俺の意識はすぐに夢の世界へと落ちていった。
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