天才少女

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コンコン………。 広い廊下の中を、戸を叩く音が軽快に鳴り響く。 「………鍵なら開いてますよ。」 部屋の中からは、若い女の子の声が漏れ、その言葉を確認する様に、ドアのノブがゆっくりと回された。 「……失礼します。」 カチャっと開かれた扉の向こうからは、初老の女性の姿が覗かれる。 「どのようなご用件ですか? ノリス先生。」 少女は没頭していた作業を一旦中断し、部屋に入ってきたノリスという名の女性の方を振り向いてみる。 「そのまま続けて結構ですわ。………オリビエさん、卒業研究は順調ですか?」 オリビエと呼ばれた少女は、ノリスの言葉に甘え、作業を続行しつつ返答する。 「えぇ。………もう終わりも見えてきました。」  
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