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澄がパソコンに向かって作業をしていた中、一人の青年が少し慌てた表情でオフィスに入って来た。
彼は振り向き、時計を見る。
時刻は八時五十分。
朝礼が始まる十分前だと知った
青年は、ほっと胸を撫で下ろす。
「危ねぇ、ギリギリセーフだ。」
彼はそう呟いた後、黙々と一眼レフを手入れしている奏のもとに歩み寄り、元気な声で彼女に話し掛けてきた。
「ういっす。」
奏は声に気付き、顔を見上げる。するとそこには、屈託のない笑顔を浮かべる青年の姿が彼女の目に入った。
「おー航太、久しぶりぃ。」
奏が明るい声で言葉を返した
相手の名前は
伏見 航太(ふしみ こうた)
奏とは同期でありこのメンバーの中では馬が合う仲でもある。
彼は奏より一歳年下の二十五歳だが、やんちゃな風貌と人なつっこい
笑顔が彼を若く思わせる。
「おぅ久しぶりぃ、奏。」
「相変わらず元気そうだね。どうだった?北海道での撮影ロケは?」
「んー楽しかったよ。
結構面白いものとか撮れたし。」
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