21人が本棚に入れています
本棚に追加
田崎の異変に気付いたスタッフ数人は、ちらほらと彼の様子を伺うが、スタッフ達の視線に気付いた彼は、後ろに振り向いた。
「…どうしたのかな?」と神妙な表情をする澄に、奏は小声で「さぁ。まぁ見ている限り、こりゃただ事じゃなさそうだね」と答えると、何やら困り果てた表情をする田崎の様子を一緒にうかがった。
「――はい、そうですか。本当に大変申し訳ありません。また後ほどそちら側に伺いますので、はい。…ホントに大変ご迷惑をおかけしましてどうもすみません。それじゃ。」
田崎は苦い表情で電話を切り浅い溜息を着いた後、直ぐさま奏を呼び出した。
「おーい、里山ぁ。」
「はい、どしました?」
駆け寄って来た奏に、田崎は渋い表情でこう告げた。
「竹田が沖縄行きダメになった。」
上司の口から思いがけない報せを聞かされた奏は、「……は?」と言葉を漏らし、思わず目を見開いた。突然のドタキャンを喰らった彼女は、「何でなんですか?」と彼に理由を問いただす。すると田崎は腕組み状態で、その理由を話し始めた。
「アイツ、仕事先で怪我をしたんだって。」
「何の怪我ですか?」
最初のコメントを投稿しよう！