現在

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「実はだな…。」と奏に苦い表情を見せた田崎は、先程かかってきた電話の内容を奏に語りかける。 仕事関係者の話によると竹田は、照明道具を片付けようと脚立に登ったその時、急に崩れ落ちたと言う。 固定レバーをちゃんと掛けてなかったのが原因で、そのまま脚立ともどもに倒れ込んだ竹田は腰と右足を強く痛め、撮影現場にいた関係者の一人が救急車を呼び、搬送先の病院に入院したと奏にそう告げると、竹田を気の毒に思ったのか、いっぺんにして心配そうな表情を浮かべた。 「まぁ医師の話によると、頭は異常無し。腰は滑り症で幸いすんだんだけど、右足が…な、骨がいっちゃったんだって。」と難儀な面持ちをしながら田崎は奏に全てを伝えた。 「完治するまでどれくらい掛かるんです?」 「全治二ヶ月。すぐに帰ってこれないってコトは確定だから。」 「でしょうね。あーあ、可哀相に。」と奏は竹田を気の毒に思った。 「うん。…まぁー、そういう事だ。」 竹田の現在状況をここまで聞かされると、流石の奏もぐうの音も出なかった。それどころか負傷した相棒を何より心配をしていた。が、奏はすぐさま仕事の話に切り替えた。
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