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同居人の里山 奏(さとやま かなで)は、澄が未だにベッドに横たわっていると察知したのか、彼女はさっきよりもう一回り大きな声を放った。
「おーい、澄。さっさと起きろ!時間だよ!」
「…今行きやーす。」
ようやく観念したのか、澄はゆっくりと体を起こし目を擦った後、のそのそと起き上がりベッドから降り立つ。少し身体が怠いせいか、彼女は重たい足取りでリビングへと向かって行った。
ファッションフォト関係の事務所でアシストとして働いていて二年目になる澄は、この五月に二十歳を迎えたばかり。
純粋で真っすぐとした性格をしているが、子供っぽい所がある。顔立ちはあどけなく、少し幼い雰囲気を漂わせるものの、自分の目標に向かって、一生懸命頑張ってる努力家だ。
頭も体も重いままようやくリビングへ辿りついた澄は、普段よりワントーン低い声で奏に話掛けた。
「おはよーございます・・。」
奏がコーヒーを飲もうとした
その時、ひどい寝癖と目がうつろな澄の姿を目に留まり、
彼女は思わず吹き出してしまうが
必死に笑うのを堪えながら澄に
朝の挨拶をする。
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