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「おはよう。アンタ、なんか凄い事になってるわよ?」
声が明らかに笑っている事に
気付いた澄は、椅子に座りジロッとした顔で睨みながら反論した。
「昨日先輩に無理矢理飲まされてこうなったんです。おかげでこんな状態なんですよ。…あー、だるい。」
テーブルにうつぶせる澄を見た奏はキッチンへ移動し、上の棚に閉まってある栄養ドリンクを取り出しながら彼女に謝っていた。
「ゴメンゴメン。久々に会ったもんだから、つい盛り上がっちゃって。ハイ、これ。」
澄より六歳年上の奏は、専属カメラマンとして四年目を迎えていた。黒い長髪な彼女はさっぱりしたと明るい性格で、人当たりが良く男女問わず好かれていた。
性格が正反対なこの二人、実は
「先輩後輩」の仲であり、いとこ同士である。
以前は互いの名前で呼び合ってたが、澄は仕事での上下関係を意識してか、奏の事を「先輩」と呼ぶようになっていた。
澄は上京する前、奏に部屋探しの相談をしていた時に
「じゃあウチの所に来なよ。
アシストは儲けが少なくて生活をやっていくのが大変だから。」
とルームシェアをする事を薦められ、それ以来ずっと奏のマンションで同居をしている。
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